最近、SNSやメディアで話題になっていたりと、よく耳にする人も多いのではないでしょうか。
妊孕性の低下に対処する方法の一つとして注目されている卵子凍結ですが、大きく分けて2つの目的があります。
ここでは、それぞれの目的と費用についてお伝えします。
医学的卵子凍結とは、がんなどの病気やそれに伴う治療により、卵巣の機能が低下する可能性がある場合に妊孕性を保つために行うものを指します。治療の一環として、医師の診断と指示のもとで行われます。
1986年に初めて未受精卵を用いた最初の妊娠が報告され、日本では2001年に、白血病や卵巣がんを患う未婚女性の卵子を化学療法前に凍結保存したと報道されました。(*1)
自費診療で行われ、医療機関によって費用は異なりますが、大体40〜50万円ほどが相場とされています。
医学的卵子凍結の場合、対象疾患であることや指定された医療機関へ受診をするなどの要件を満たした場合は、1回20万円までの助成金を最大2回まで受けられる可能性があります。(*2)自治体により助成金の上限が異なることがありますので、お住まいの自治体に確認するようにしましょう。
社会的卵子凍結は、健康な女性が将来の妊娠に備えて行うもののことを指します。
一般的に、加齢により卵子の数の減少や卵子の質が低下すると言われており、年齢を重ねるほど妊娠率は低下します。(*3)そのため、卵子の加齢を一時的に止めるために社会的卵子凍結は行われます。
社会的卵子凍結は医学的卵子凍結に比べると新しい概念で、2014年に米国のFacebook(現:Meta)とAppleが女性従業員に対する卵子凍結費用を補助すると発表し話題になりました。
日本でも少しずつ社会的卵子凍結費用を補助する自治体や企業が増え始めています。
医学的卵子凍結と同様に自費診療で行われ、大体40〜50万円ほどが相場とされています。費用は採卵回数や採卵個数、また保管年数によっても変わります。
自治体の助成金制度や企業の福利厚生を利用できる場合もありますので、ご自身が対象となるか確認しましょう。
ここでは、卵子凍結の目的の違いと費用についてお話ししました。
医学的卵子凍結と社会的卵子凍結、いずれの場合も卵子凍結は自費診療になります。
社会的卵子凍結は、自治体によって助成金の対応が異なりますので、少しでも費用を抑えたい方は制度を確認するほか、医療機関の料金体系を比較することが大切です。
参考文献
*1…未受精卵子の凍結. 中塚幹也. 特集 生殖医療の倫理的・法的諸問題. HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY VOL.29 NO.4 2022. 12 29 (267)
*3…髙橋俊文. 不妊症を生物学的・ 社会学的に探求する. 福島医学雑誌. Vol.72 No.1.2022.p.1-9