卵子凍結をする上で、採卵個数は将来の妊娠率にも関わる重要なポイントです。
できるだけ多くの卵子を採るために、ここでは排卵誘発方法の違いについてお伝えします。
卵子凍結をする際には、効率よく質の良い卵子をたくさん採るために、飲み薬やホルモン注射で排卵を促します。
実は、この排卵誘発で用いる薬剤の種類はすべて同じではなく、刺激が弱い「低刺激法」と、刺激が強い「高刺激法」が存在します。
それぞれのメリットとデメリットは以下のようになります。
低刺激法は刺激が弱いことで、身体への副作用も少ないですが、高刺激法に比べて採卵個数は限られてしまい、結果的に複数回の採卵が必要となることもあります。
年齢にもよりますが、特に若い人では高刺激法で一度にたくさん採卵でき、将来妊娠できる確率も高まる可能性があります。(*1)
しかし、多数の卵胞(卵子が入っている袋)が育つことで卵巣が腫れてしまう卵巣刺激症候群は、高刺激法による排卵誘発を行った場合に考えられる副作用として注意が必要な症状です。
ここでお伝えしたように、排卵誘発の刺激方法には低刺激法と高刺激法の2種類があり、一度により多くの卵子を採りたい方は高刺激法を選択すると良いことが分かりました。
ただ、その分身体への負担が増えるため、ご自身に合った排卵誘発方法を医師とよく相談して選択することが大切です。
参考文献
*1…当院における生殖補助医療の臨床成績:年齢層と卵巣刺激法からみた検討、鈴木 葵, 齋藤 未來, 奥田 剛、昭和学士会誌 2021 年 81 巻 4 号 p. 342-346