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リアル体験談「彼女の場合」

私が卵子凍結をしようと思ったのは、子どもが欲しいと思った時に後悔したくなかったから

私が卵子凍結をしようと思ったのは、子どもが欲しいと思った時に後悔したくなかったから

子どもを抱く女性

最近、東京都が助成金制度を始めたり、福利厚生で取り入れる企業が増えてきたりと、注目されている卵子凍結。

今回は実際に卵子凍結を行った方に取材をし、決断に至った理由や、実際にやってみて感じたことなどをお話しいただきました。

誕生日、年齢を一つ重ねる前のタイミングで「やろう」と決めました

選択する道を考える女性

ーー卵子凍結を知った時期と検討し始めたきっかけ教えてください

30代前半の時です。友人と話していた時に、卵子凍結の存在を知りました。その時は、仕事が充実していたのもありましたし、妊娠・出産に対して年齢的に焦りや危機感も特になくて、費用も高かったので見送っていました。

それから少し経って、もうすぐで40代に入るというタイミングでふと、「いざ子どもが欲しいと思ったときに、授かれない可能性もある。」ということを考えたんです。

ーーその時に、卵子凍結をやることを決めたんですね?

ちょうど誕生日が迫っているタイミングでなにか節目を感じて、「一つ年齢を重ねる前にやろう!」と、卵子凍結をする決断をしました。

「先のことはわからないけど、その時に後悔をしたくない」という気持ちが1番強かったですね。

決意する女性

ーーお仕事をしながら卵子凍結をするのは大変かと思いますが、どのようにされていましたか?

私の仕事は建設業なので、女性が少ない環境でした。

卵子凍結を行うと決めたあとは何回か通院が必要なのですが、周りにはあまり詳しくは話せずに、「検診」とか「通院」とかぼやかしていましたね。

また仕事との両立を考えて、クリニックを決めるときに「通いやすさ」を特に重視していました。

私が行ったクリニックは土日も採卵を行えるところだったので、休みの日も利用して、平日は仕事終わりに少し早く抜けるのみにするなど、できるだけ仕事の穴をあけないように通院していました。

働く女性

「こんな機会ない!」という気持ちでポジティブに臨めた卵子凍結

胸に手を置く女性

ーー実際に卵子凍結を行ってみて、心配していたことへのギャップはありましたか?

事前に色々と情報収集をしていたので、副作用とか大丈夫かな、と思っていました。

幸いなことに私は副作用などが全くなく、痛みに関しても全身麻酔で行ったので、寝てる間に終わっていたという感覚でした。

ただ、”排卵誘発剤は必ず何時に打たなきゃいけない” など、気を付けないといけないことは多いなと感じました。でも、自分自身の身体に向き合ういい機会だと思って、ポジティブな気持ちでやっていました。

排卵誘発の自己注射に関しても、痛くないと言ったら嘘になりますが、思っていたよりも痛くはなく、自分で自分に注射をする機会なんてないので、むしろ楽しんでやっていましたね。

自己注射をする女性

ーー通院の期間や回数はどれくらいでしたか?

通院回数は計6回で、期間は1ヶ月半くらいでした。私の場合はAMH検査から行いましたが、低用量ピルを飲んでいたので生理の周期もわかりやすく、比較的スケジュールを組みやすかったです。

ーー実際にいくつ採卵できましたか?

私は1回採卵して、採れたのは8個だったんですが、そのうち2個は未成熟卵だったので、凍結したのは6個になります。

「やってよかった。でも、もっと早く知りたかった」

上を見上げる女性

ーー卵子凍結を行ったあと、気持ちの変化はありましたか?

将来に対する不安が一つ消えたので、まずは「やってよかった」というのが一番にあります。

そんな中で、もっと早く知れていればよかったなという気持ちもありますね。例えば今回のように1回だけじゃなく何回かに分けて採卵できたかもしれないし、子どもを持つことに対する気持ちも今とは違っていたかもしれない。

ーー実際に卵子凍結をやってみて、もっとこんなサポートがあればよかったなと思うことはありましたか?

私の場合は周りに卵子凍結に興味がある友人がいたので、この選択肢にたどりつけたのですが、普通に暮らしているとなかなかこの選択にたどりつくことは難しいんだろうなと思います。本当に興味を持っている人じゃないと情報が入ってこないですよね。

なので、色んな選択肢があるんだよ。ということを沢山の人に知ってもらうためにも、もっと情報をオープンに発信しているメディアがあればいいのになと思いました。

「時間は戻せない」ということを伝えたい

赤ちゃんを抱く女性

ーーいま、卵子凍結を迷われている方がいたら、どんなことを伝えたいですか?

その人の置かれている状況にもよりますが、とにかく、時間は戻せないということは伝えたいです。

年を重ねると、外見だけじゃなく内側の ”卵子” や ”卵巣” も老化していってしまうので、今できるのであれば、やる選択もありだよ、と伝えたいと思います。

ーーこれから卵子凍結がより一般的になるために必要だと思うことはありますか?

男女でお互いの性の違いを理解し合うことが大切だと思います。

妊娠・出産など、女性にしかできないことや、また女性特有の問題が起こったときにその理解がないと、たとえばキャリアに影響を与えてしまうこともありますよね。キャリアを失うことが怖くてなかなか言い出せない人や、色んな選択を諦めてしまう人もいると思うんです。「お互いを理解する」って言葉で言うと簡単なんですけど、実際にはなかなかできていないのが現状だと思います。

性の話になると、なんだかやましい話だとか、蓋をしたがることもあると思うのですが、そういう風に考えるのではなく、必要な知識としてみんなが持っておく必要があると感じますね。

取材後記

実際に卵子凍結をした方の貴重な声を取材させていただきました。

卵子凍結は、将来妊娠を望む女性の選択肢の一つとして注目され始めていますが、「やりたい」と思う人が迷いなく選択できる世の中になるためには、社会全体が一人ひとりの価値観を尊重し、理解し合うことが大切なのだと感じました。

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