卵子は年齢とともに老化し、質が低下することを知っていますか?
卵子の質が低下すると、子どもが授かりにくくなると言われているのです。(*1)
一般的に女性は35歳頃から妊孕性が低下していきます。39歳を超えるとその傾向は顕著になり、妊娠率が下がるだけでなく、染色体異常も起こりやすくなると言われています。そして45歳頃になると妊娠できる可能性は限りなく低くなります。(*2)
年齢を重ねて体が老化するのを止められないのと同じく、卵子の老化を止めることはできません。しかし、まだ不確かなことが多いながらも、卵子の質の低下のメカニズムが分かりつつあります。
卵子の質の低下の原因のひとつに「活性酸素」があります。活性酸素は体内で増加すると、細胞を傷つけたり、病気やがんの発症、また老化の原因になることで知られています。(*3)
活性酸素を体内で増加させないことは、卵子の質の低下を進行させないひとつの方法と言えるでしょう。また活性酸素は不妊の原因になるとも言われており、将来子どもを持ちたいと考えている人は特に注意したいですね。(*3)
ストレスは体内の活性酸素を増加させ、卵子の質の低下や排卵障害を招くことが報告されています。(*4)社会生活を送るうえでストレスをゼロにすることは難しいことかもしれませんが、卵子の質の低下を進行させないために、環境を変えるなどで少しでもストレスを軽減できないか、考えてみてもいいかもしれません。
3食しっかり食べること、そしてバランスのとれた食事をとることはとても重要です。特にビタミンD不足は不妊に関連しているとの報告があるほか、妊娠合併症のリスクも高まるとされてるため、意識して摂るようにしましょう。(*5)また、抗酸化作用が期待されるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEも卵子の質を保つ上でおすすめの栄養素です。
喫煙は生殖能力に影響を与えるとされていて、不妊に対しても悪影響を与えます。避妊をやめてから妊娠するまでの待機期間が長くなることが報告されているほか、喫煙者の女性の場合は、閉経が早まることにより生殖期間が短くなるとされています。(*6)
また、男性の場合も喫煙は生殖能力の低下を引き起こすと言われています。
このように、卵子の質の低下を進行させない生活習慣をつけることは将来の妊娠のために大切だと分かりました。
毎日の習慣が自分自身の健康を作ります。いつか子どもが欲しいと考えている方は、一度、今の生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。
※参考文献
*1…髙橋俊文. 不妊症を生物学的・ 社会学的に探求する. 福島医学雑誌. Vol.72 No.1.2022.p.1-9
*2…桑山正成.ヒト卵子の凍結保存:ヒト卵子バンクの実際. 第7回麻布大学 生殖・発生工学セミナー. 加藤レディスクリニック 先端生殖医学研究所. p89-93. 2005
*4…國府大智、谷真一、大原高秋、細江和典、清水隆、宮崎均. 酸化ストレス依存的な排卵障害に対するCoenzymeQ10の保護効果. 2015
*5…古堅彩子. 女性におけるVitamin D状態の評価と胎盤機能との関連性. 公益財団法人三島海雲記念財団 第60回/2022年度(令和4年度)学術研究奨励金研究報告. P.25