いつか妊娠したいと思う人にとって、年齢という問題は避けては通れません。
ここでは、実際に年齢が妊娠率にどう影響を与えるのか、データを元に理解を深めていきましょう。
最終的に1人の赤ちゃんを授かれる確率と凍結保存した卵子の個数を比べたデータでは、卵子の数が多ければ多いほど、赤ちゃんを授かれる可能性も増えますが、それは採卵時の年齢に大きく左右されます。
ある研究では、35歳以下で卵子凍結をした場合、卵子が20個あるときにはおよそ78%、24個あるときにはおよそ94%の確率で赤ちゃんを授かることができますが、35歳を超えると、20個あったとしてもおよそ50%の確率でしか赤ちゃんを授かることができず、それ以上採卵できても出生率はあまり高くならないことが報告されています。(*1)
加齢によって卵子の数や質が変化することで「妊孕性」が低下することが分かっており、現在のところ、この妊孕性の低下に対する有効な治療法はなく、若いときの卵子を凍結する「卵子凍結」は唯一の対処法とされています。(*2)
つまり卵子凍結は、妊孕性の低下を一時的に止めることができるという点で有効な手段と言えます。
卵子凍結をするなら、できるだけ若くて質の良い卵子を凍結したほうが、将来の妊娠率が高くなるということが分かりました。
妊娠率には卵子の個数だけでなく卵子の質に関連する「年齢」が重要、ということを頭の片隅におき、卵子凍結について考えてみてください。
※参考文献
*1 A Cobo,et al.(2018). Hum Reprod. Vol.33(12):2222-2231.
*2…不妊症を生物学的・社会学的に探求する─ 卵子凍結に潜むリスクとベネフィット ─、髙橋 俊文、福島医学雑誌、2022 年 72 巻 1 号 p. 1-9