これから卵子凍結をしようと思っている方の中には、将来生まれる子どもへの影響を心配している方もいるかもしれません。
ここでは、凍結卵子を使った妊娠・出産が子どもに影響を与えるのか、という点についてお話しします。
アメリカ生殖医学会が2013年に公表したガイドラインによると、現在用いられている「超急速冷却ガラス化法」という方法で凍結保存した卵子から生まれた200人の子どもは、新鮮胚移植による体外受精で生まれた子どもと比較して、出生体重や奇形などの有意な先天性の異常は認められないと報告されています。(*)
ここで一つ大切なポイントをお伝えします。
一般的に、35歳以上で初めて出産する場合は高齢出産と言われており、年齢が上がるにつれて染色体異常などのリスクが高まるとされています。
凍結保存した卵子を利用して妊娠・出産した場合もこれと同様で、採卵時の年齢が上がるにつれて子どもへのリスクも高まるので、その点を理解したうえで選択することが重要です。
将来生まれる子どもへの影響は、凍結保存した卵子を使用することによって何らかの異常が起こるリスクが高まるわけではないとされていることが分かりました。
しかし、自然妊娠でも凍結保存した卵子を利用した妊娠でも、どちらも同じように一定のリスクは存在します。
そのことを理解したうえで、自分にとってより良い選択をしましょう。
※参考文献
*河村和弘、杉下陽堂、鈴木直. 未受精卵子凍結保存の現状. 臨婦産Vol.68 No.8. 2014. p.812-816.