毎月生理がきているのに、なかなか妊娠に至らない、周期が不安定…そんなとき、実は排卵が起きていない「無排卵」の可能性があります。無排卵でも生理のような出血は起こるため、見た目だけでは判断できません。この記事では、無排卵で出血が起こる仕組みや原因、病院で調べられる検査や治療法を分かりやすく解説します。

無排卵とは、卵子が排出されない状態です。排卵がないとプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されず、月経周期や出血量が不安定になりやすくなります(*1)。
無排卵の場合でも、エストロゲン(卵胞ホルモン)により子宮内膜が厚くなります。次第に厚さが増し、剥がれ落ちることで出血します。これが「無排卵性出血」です。


無排卵が続くと妊娠しにくくなるだけでなく、プロゲステロンが分泌されないことにより内膜が厚くなりすぎる「内膜増殖症」を引き起こす可能性があります。この内膜増殖症は、子宮体癌の原因とも言われているため(*6)、放置せずに治療することが大切です。

病院では、主に以下の方法で原因を検査します(*1)。
治療は、原因に応じて選択されます(*1)。
無排卵でも生理のような出血は起こります。出血があるからといって毎月排卵しているとは限らず、周期の乱れ・出血量のばらつき・排卵のサインが乏しい場合は注意が必要です。
無排卵は治療可能なことが多いため、症状が続く場合は早めに婦人科で相談することが大切です。
参考文献
*1…StatPearls. Anovulatory Bleeding. (2023)
*2…多囊胞性卵巣症候群の診断基準(日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会, 2024)
*3…くすりについてのQ&A 26. 乳汁分泌・無月経 (高プロラクチン血症)を起こす薬剤 福岡県薬剤師会(2008)
*4…公益社団法人 日本産婦人科医会 > 研修ノート No112 基本から学ぶ不妊治療 >(4)甲状腺機能と妊娠
*5…シンポジウム:女性のライフステージと心身症 月経からみた女性のストレス疾患 第54 回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜)甲村弘子(2013)