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不妊治療・卵子凍結で使われるHCG注射とは?

不妊治療・卵子凍結で使われるHCG注射とは?

HCG注射は、不妊治療や卵子凍結の現場で“排卵”や“卵子の成熟”をコントロールするために使われる、とても重要な注射です。

この記事では、HCG注射の仕組みや使われる場面、副作用などについて解説します。

hcg注射を持つ手

HCG注射とは?ヒト絨毛性ゴナドトロピンの働き

HCG注射とは、「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(Human Chorionic Gonadotropin)」というホルモンを含む注射です。

このホルモンは、妊娠初期に胎盤から分泌されるもので、排卵を引き起こす「LH(黄体形成ホルモン)」と似た作用を持っています。

医療の現場では、このHCGの作用を利用して「排卵を起こす」「卵子を成熟させる」といった目的で使用されています。

どんな治療で使われる?HCG注射の使い道

HCG注射は、主に以下のような治療の場面で使用されます。

① タイミング法や人工授精(AIH)

  • 卵胞の大きさを超音波で確認し、「そろそろ排卵」というタイミングでHCG注射を打つ
  • 注射後、約36〜40時間で排卵が起こるため、性交や人工授精のタイミングを合わせやすくなる

② 体外受精(IVF)や卵子凍結

  • 複数の卵胞をHMGなどで育てた後、最終的な卵子の成熟を促す目的でHCG注射を使用する
  • 排卵そのものが起きる前に採卵を行うため、「排卵のタイミングをコントロールする」目的でも重要な役割を果たす

HMG注射との違いは?役割を比較

注射の種類働き投与のタイミング
HMG注射卵胞を育てる(FSH)周期初期〜中期
HCG注射排卵・卵子の成熟を促す排卵または採卵の34〜36時間前

不妊治療や卵子凍結の過程では、HMGが卵胞を育てる役割、HCGが排卵を促す役割を担っています。

HCG注射後の排卵や採卵のタイミング

HCG注射の最大の特徴は、「排卵のタイミングを人為的にコントロールできる」ことです。

  • 通常、注射の約36時間後に排卵が起こる(個人差あり)
  • タイミング法や人工授精では、注射後の性交・施術タイミングが重要
  • 体外受精や卵子凍結では、排卵前のベストなタイミングで採卵を行う

HCG注射の副作用とリスク

HCG注射は比較的安全とされますが、副作用やリスクについても理解しておきましょう。

主な副作用

  • 下腹部の張りや違和感
  • 軽い吐き気・だるさ
  • 胸の張り
  • 卵巣過剰刺激症候群(OHSS):多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方は特に注意が必要

注意点

  • 妊娠検査薬にHCGが反応し、「偽陽性」になることがある(注射後約10日間は特に注意)
  • タイミングや自己注射の管理ミスにより排卵時期がずれることがある

まとめ

HCG注射は、不妊治療や卵子凍結において「排卵のコントロール」や「卵子の成熟」を目的として使われる、非常に大切な注射です。

タイミングが重要な場面が多いため、注射の時間や方法、前後の対応を正しく理解しておくことが、治療の成功率アップにつながります。

分からないことや不安な点があれば、必ず医療機関で相談しましょう。

参考文献

一般社団法人 日本生殖医学会 生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A) > Q9.排卵誘発薬にはどんな種類がありますか?

厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」平成23年

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