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大滝麻未の決断 復帰から引退までの道のりと女性アスリートに向けたメッセージ

特別取材【後編】:女子サッカー元日本代表 大滝麻未さんが語る競技復帰から引退までの葛藤と女性アスリートの未来

女子サッカー元日本代表として活躍した大滝麻未さんは、日本のスポーツ界では珍しい「現役中の妊娠・出産」を経験されました。

前編では、競技人生と妊娠、出産の経験についてお伺いしました。

後編は、出産後の競技復帰から引退までの心境の変化、そして女性アスリートの未来についてお話しいただきましたので、ぜひご覧ください。

育児をしながらの競技復帰

―育児と競技の両立は大変だったと思いますが、両立するにあたって葛藤などありましたか?

「私が練習に行っている間、子供は夫にみてもらっていたのですが、『早く帰らなきゃ』という気持ちと、『この10ヶ月遅れた分、少しでも早く取り戻さなきゃ』という気持ちのバランスがうまく取れずに悩みました。」

―お子様がいると気持ちの切り替えが難しそうですね。その他に大変だったことは何かありましたか?

「体力的にも大変でした。子供が寝ている早朝の時間とかに頑張って起きてトレーニングするべきだったと思うのですが、疲れていてそこまではできず…、それは自分の弱い部分だったかなと思います。」

競技復帰から引退までの道のり

ー競技復帰を経て2023年に引退しましたが、どのようなお気持ちから決断したのですか?

「2人目を意識し始めたタイミングだったことと、試合に出られなくなってきて苦しい時期が続いたことがきっかけです。その苦しい時に自分が大切にしたい優先順位が変わったことが気持ちとしてありました。」

ーその時は何を優先したいと感じていたのですか?

「子供を出産したことで、試合に出られない時間に対する意識が変わり、『この時間を子供と過ごす時間にしたい』と感じるようになりました。サッカーに対しては、自分がもっとやりたいと思っているならやればいいし、そうでなくなってしまったなら辞めた方がいいと考えていました。その時は自分の中で『もういいかな』という気持ちが強かったので引退を決めました。」

現役中に妊娠・出産をしたからこそ見えた景色

ー現役中に妊娠・出産をされたお立場から、 若い女子アスリートに向けてメッセージはありますか?

「妊娠・出産をすると、やっぱり必然的に競技を中断しなければいけない期間があります。調子がいい選手は特に決断に悩むと思います。ですが、経験したからこそ見えるものがあるし、競技を続けながら妊娠・出産をするということも一つの選択肢として持ってみてほしいなと思います。」

ー「妊娠・出産と競技の両立」を考えてみることが大切ですね

「何より自分のキャリアを伸ばせます。好きな競技を続けながら女性としての人生を充実させることついて、多くの選手にぜひ考えてみてほしいです。」

ー育児と競技の両立を経験されて、良かったことは何ですか?

「一番は人の優しさを感じられたことです。家族はもちろん、クラブ関係者やチームメイトのみんながどうしたらいい環境で競技と育児の両立ができるかを考えてくれました。その景色はやっぱり妊娠・出産しなかったら見られなかったなというのはすごく感じます。」

アスリートと卵子凍結

ー大滝さんは卵子凍結を検討したことはありましたか?また、アスリートが卵子凍結することについてはどのように考えていますか?

「私はあまり考えたことがなかったのですが、チームメイトで『卵子凍結しようかな』と言っていた選手はいましたね。周りから話を聞いて卵子凍結を知ったのですが、そういう選択肢があるなら絶対した方がいいじゃん、とその時素直に思いました。」

ーもし、まだ現役で旦那さんとも出会ってなかったとしたら「卵子凍結」を考えますか?

「卵子凍結をする可能性はありますね。もし夫と出会っていなくて現役だとしたら、きっとサッカー中心の生活で、『もう少し頑張れる、もう少しやれる』という気持ちだと思います。卵子凍結は自分が現役でいられる時間を増やすことにつながるので、考えるだろうなと思います。」

ー卵子凍結という選択肢について、次世代のアスリートに伝えたいことはありますか?

「今は妊娠したくないけど将来的に子供が欲しい選手や、キャリアを中断せずにできるだけ頑張りたい選手たちが、卵子凍結という選択肢を一つ持っておくことで、先のことを心配せずに競技に専念できる可能性があります。まずは多くの人に正しい情報を知ってほしいなと思います。」

取材後記

出産後の競技復帰から引退までのご経験と女子アスリートの未来について、大滝さんの考えをお伺いしました。     

「いつか子供が欲しい」と考える女性がキャリアを断つことなく、妊娠・出産を当たり前に選択できることの大切さを感じました。 その可能性を少しでも多く残すための選択肢の一つとして、「卵子凍結」が世間に正しく理解されるよう、引き続き情報を発信してまいります。

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