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リアル体験談「彼女の場合」

「あのとき選択すればよかった」と後悔しないために

「あのとき選択すればよかった」と後悔しないために

卵子凍結経験者への取材を通して卵子凍結のリアルをお届けします。今回は、36歳で卵子凍結を行ったRIOさんへ、実施時の体調変化や実施前に知っておいたほうが良いことなどについてお話を伺いました。

経験者のリアルな声を探している人たちに、私の経験を届けたい

ー今回この取材を受けて下さったのは、読者の方へ伝えたいことがあるとのことですが、どんなことですか?

私が卵子凍結を実施したのは2023年の12月ですが、その当時は医療機関が出している記事とかで「卵子凍結の情報」はあったけど、「実際のリアルな体験談」はあまり見つけられませんでした。

調べる女性

ーやはり実際の「体験談」は貴重ですよね

私も、”実際どうなんだろう”、”痛いのかな”、”怖いな”、という漠然とした不安があって、もし今同じような思いをしている人がいるとしたら、私の経験を話すことで、卵子凍結を少しでもリアルにイメージしてもらえるのかなと思ったんです。

情報が少ないながらも自分なりに調べて臨んだ卵子凍結ですが、実際に受けてみたら想像と違ったこともたくさんありました。

経験者の声がたくさんあった方が、これから受ける人にとって色んなパターンを予測して準備することができると思うので、今回の取材を受けることにしました。

AMH値は1年でガクンと減少することもあると知って、「今すぐやろう」と決意

決断する女性

ー実際に卵子凍結を受けるにあたって、どのようなきっかけがあったのですか?

私の周りに卵子凍結を受けた友人が複数人いて、その人たちの話を聞いている中で自分も興味を持ち調べ始めました。

同い年の友人は、採卵の前年に行ったAMH検査で数値が高くて、「卵子の数も多そうだしいっぱい採れると思うよ」と医師から言われていたけれど、翌年もう一度検査をしたら急に減ってしまっていて、1年でそんなに変わることもあるのかと衝撃を受けました。

それなら今すぐやろう!と思い、実施を決めました。

凍結卵子を使うときのことまで考えて、不妊治療の実績があるクリニックで受けることに

ー医療機関を決めるときに大切にしていたポイントは何ですか?

実際に受けた友人から、「急なタイミングで受診する必要があるから、病院は自宅か職場から近いところがいい」と聞いていたので、出社メインの私は職場から近いところを探していました。

通勤する女性

それだけでなく、実際に凍結卵子を使うときのことを考え、不妊治療の実績があるところというのも選ぶ基準の一つにしました。

ー職場の人には卵子凍結についてお話しされましたか?

転職したばかりだったことと上司を含め周りが男性ばかりだったので、言いませんでした。朝一で通院して出社時間を少し遅らせたり、夕方早上がりして通院するなどしてスケジュール調整をしていました。

時計と女性

ー東京都の助成金も活用したそうですね

実際に、東京都の助成金はかなり決断の後押しになりました。

2023年9月に東京都の助成金のニュースを知り、すぐに説明会に参加したかったのですが、その時にはもう9月の枠は満席で、結局1ヶ月後の10月の説明会に申し込みました。

本当にやってよかった。でも本音は「もうやりたくない」

お腹を痛める女性

ー卵子凍結の結果を教えてください

1回で20個採卵、18個凍結という結果でした。

事前に行ったAMH検査で数値が高かったということもあり、1回でたくさん採れたのでそれは本当によかったです。

ー痛みは感じましたか?

全身麻酔で行なったので採卵中は眠っていて、起きたら終わっていました。

でも、起きた瞬間からもう痛くて…。少しベッドで休ませてもらうんですけど、痛すぎて本当につらかったです。

持参していた痛み止めをすぐに飲んで、痛みが治まるまで動けませんでした。

そのあと家に帰るまでの道のりも長く感じて、そのときばかりは「家の近くのクリニックにすればよかった」と思いましたね。

痛みに耐える女性

ー採卵個数も多かったから痛みも強く感じたのかもしれないですね

そうなんです。針をたくさん刺してるからっていうのは大きかったと思います。卵子をたくさん採れたことは良かったし、何より終わって安心したから、「しょうがないこと」と思って帰宅しました。

ただ、私は痛すぎたので、もう二度とやりたくないと思ってしまったのが本音です。

悩む女性

その後、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に

ー痛みの他に症状はありましたか?

お腹の張りむくみ便秘に悩まされました。特にお腹の張りはすごくて、半年くらいの妊婦かな?くらいに膨れてしまって。これが普通なのかも分からない状態でした。

採卵の数日後に受診があったので先生に診てもらったら、「卵巣過剰刺激症候群」になっていると分かりました。

ひどい場合だと入院が必要になることもあるそうで、幸い私は危険な状態ではなかったのですが、本当に大変な思いをしました。

痛みもひどく体力も奪われて動けなかったので、ずっと寝て過ごすことしかできませんでした。

布団の中でスマートフォンを見る女性

ー症状はどのように軽快したのですか?

便秘に関しては、たまたま持っていた便秘に効くジュースを飲んだり、お腹を温めると痛みが和らぐとネットで見たので、使い捨てカイロや腹巻きをして過ごしていました。

採卵から10日ほどして生理がきたので、その頃からようやく体調が整いだしました。

幸いなことに年末年始休暇中だったので、何もせず休むことができましたが、普通の平日が続いていたらどうなっていたんだろうと思います。

体調の変化とその対処法について、事前に知っておきたかった

情報収集する女性

ー実施の前後でご自身の中で感じたギャップはありますか

思っていたより痛みがひどかったことです。

痛みに関してだけでなく、どんな症状が起こるかは実際にやってみないと分からないですが、色々な可能性を考えて、できる準備はしておいて損はないのかなと思います。

今考えると、便秘に効くジュースや使い捨てカイロ、腹巻きは回復のためになくてはならないアイテムでした。私はたまたま持っていたから使うことができましたが、持っていなかったとしても、起こる可能性があることを知っていれば事前に準備していただろうな、と。

私なりにしっかり情報収集をして臨んだ卵子凍結ですが、体調の変化とその対処法についての情報はあまりありませんでした。

なので、これから卵子凍結をやろうと思っている友人にもこの経験を話していますし、多くの人に知ってもらいたい情報です。

情報を集める女性

焦る気持ちに余裕を持てるようになったのが、自分にとってとても大きなこと

ー実際に卵子凍結をされてみて、気持ちの変化はありましたか

やっぱり妊娠・出産ってどうしてもタイムリミットがあるので、焦る気持ちが強かったのですが、やってみて、その気持ちが落ち着きました。

どうしても痛みや費用などの問題があるけれど、将来、「あのとき選択すればよかった」と後悔したくなかったんです。

実際にやってみて言えることは、結婚や妊娠は一人ではできないですが、その一人ではできない選択に対して、卵子凍結は自分一人で選択でき、準備しておける保険として、良い選択肢だと思います。

現場のプロフェッショナルに身を任せる

話し合いをする医師たち

ー実際にやってみて感じた、卵子凍結のメリット・デメリットを教えてください

メリットは、自分の将来に可能性を残せることです。やっぱりやる前って分からないことが多いので不安に感じてしまうと思うのですが、でも実際にやってみたら、先生も看護師さんたちも卵子凍結の流れにとても慣れていて、スムーズにやってもらえたので、安心して任せることができました。しっかり整った環境でできるのはとてもいいことだなと思いました。

デメリットは、実際にやってみないと何個採卵して凍結できるか分からないし、凍結したとしても妊娠できるという確約はないので、それは自分自身でしっかり理解した上でやる必要があると思います。

また来院のためのスケジュール調整、注射や服薬の必要があること、前後の体調不良はどうしても起こる可能性があるので、一時的な負担はないとは言えませんね。

長い人生の中の”1ヶ月だけ”がんばる

スケジュールを確認する女性

ー卵子凍結の実施を迷われている方がいたら、ご自身の経験からどのようなことを伝えますか

将来への不安な気持ちが強くて、妊娠や出産を焦りたくないと思っているのなら、選択肢の1つとしていいよ、というのはまず伝えたいです。

そして私が事前に知りたかった「痛み」とか「スケジュール調整の難しさ」は知っておいてほしいです。知った上で、自分のいいタイミングでやってほしいと思います。

長い人生の中で、1ヶ月だけ大変な思いをすると思いますが、その1ヶ月だけがんばる。と言う気持ちでいてほしいです。

まずは知ることから

決断する女性

ー卵子凍結が今よりも一般的になるために、何が必要だと思いますか

仕事を調整する必要があるときに、やっぱり上司や会社の身近な人に分かってもらえてると、やりやすいと思います。 

プライベートなことなので、みんなにオープンに言う必要はないと思いますが、「卵子凍結」を選択してる人が当たり前にいて、それが彼女たちのライフステージによってはとても大事なことだということを知識として知ってほしいし、その理解が広まるといいですよね。

男女問わず社会全体で知識を深めたり、サポートを充実させる必要があるのかなと感じます。当たり前にやれる、やってもいい権利があるということを知ってほしいですね。

取材後記

今回は、36歳で卵子凍結を行なったRIOさんにお話を伺いました。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)については他の記事でも紹介していますが、排卵誘発のためのホルモン剤の刺激で起こる副作用の一つとして知られています。これから卵子凍結を行う方は、RIOさんの体験談を参考に、事前にできる準備を整えることをおすすめします。

RIOさんはご自身の卵子凍結のご経験を多くの人に知ってもらうため、noteを公開しています。興味がある方はぜひご覧ください!

RIOさんのnoteはこちら(https://note.com/umi670/n/n159c5db723e6

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