女性のおよそ10人に1人が発症すると言われている子宮内膜症についてご存知ですか?放置すると激しい痛みを感じるだけでなく、不妊の原因にもなると言われており、適切な治療が必要です。
ここでは、子宮内膜症の基礎知識として、原因や症状、治療法についてお伝えします。
子宮内膜やそれに似た組織が本来あるべき子宮の内側以外で発生し、発育する疾患です。
発生箇所は卵巣、腹膜、膀胱、直腸、肺などとさまざまです。
明確な原因は分かっていませんが、月経時の血液が適切に排出されず、卵管からお腹の方へ逆流してとどまってしまうことで発症する可能性が高いとされています。
女性のライフスタイルの変化により、晩婚化や初産年齢が上昇している現状を受け、子宮内膜症を発症する女性が増加傾向にあるとされています。その理由として、月経が起こる度に体内に血液が溜まっていくため、月経回数が増えることで子宮内膜症は発症・悪化しやすくなることが考えられます。
代表的な症状として言われているものは「痛み」と「不妊」です。
日本内膜症協会の調査(*1)では、月経痛は88%、月経時以外の下腹部痛は72%、腰痛は57%、性交痛56%、排便痛39%などで、高頻度に疼痛症状がみられます。
また日本産婦人科医会は、子宮内膜症と不妊との関連について以下の通り示しています。(*2)
・子宮内膜症患者の30〜50%が不妊
・不妊症患者の25〜50%に子宮内膜症が認められる
・不妊症患者の子宮内膜症罹患率は正常婦人の6〜8 倍高い
・正常婦人の月経周期ごとの妊孕率は15〜20 %であるのに対し、子宮内膜症患者は2〜10%に低下する
子宮内膜症と不妊は明らかに関連していますが、その明確なメカニズムはまだ十分に解明されていません。
薬物療法または手術療法が検討されます。症状の重症度や進行度、また妊娠希望の有無によって治療法は異なります。
薬物療法には、痛みを抑えるための対症療法と、子宮内膜症の進行を止めるホルモン療法に分けられます。
手術療法は、薬物療法で症状が良くならない場合や再発した場合、また妊娠希望のある方で、子宮内膜症により自然妊娠が難しい場合などに選択されます。
お伝えしたように、子宮内膜症は女性のおよそ10%に発症するとされる疾患です。特に妊娠希望の方は不妊の原因になるほか、妊娠希望のない方でも月経痛などの痛みがひどくなる可能性もあるため、適切な治療方法を医師と相談しましょう。
参考文献