凍結保管している卵子を使用しない場合、どうなるのか疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。
ここでは、凍結卵子の使用率と保管後についてお伝えします。
卵子を凍結したあとの使用率を調べたアメリカの調査(*1)が2021年に発表されました。
その論文では、凍結から10〜15年後の使用率はおよそ38%、非使用率はおよそ59%という結果になりました。
実際には卵子凍結を行っても、例えば自然妊娠で子どもを授かることができるなど様々な理由から凍結卵子を使用しない場合もあるとされています。
保管に関する条件は医療機関により異なりますが、基本的に更新型のシステムにしている場合が多く、本人が保管の更新を希望する限り保管は続きます。(※更新の手続きをしなければ、事前通知なく破棄されてしまう医療機関もあるため注意しましょう。)
しかし、妊娠・出産は永遠にできるわけではないため、使用できる年齢には限りがあります。日本生殖医学会では、高齢出産によるリスクを考慮し、45歳以上の使用は推奨できないとしています。(*2)
年齢の上限は医療機関により異なるため、事前に確認するようにしましょう。
卵子凍結を行う時点では、いつまで保管するか、いつ使用するかは未定の方も多いと思います。
決められた年齢に達しない限り保管することができる卵子凍結ですが、ライフプランの可能性を広げ、妊娠・出産を焦らなくていいというメリットがある一方、実際に使用する際の自身の年齢についてはしっかりと考え、保管計画を立てることが大切です。
参考文献
*1…Planned oocyte cryopreservation-10-15-year follow-up: return rates and cycle outcomes. Blakemore JK, Grifo JA, DeVore SM, Hodes-Wertz B, Berkeley AS.Fertil Steril 2021;115(6):1511–20.